Innovation

シンガポールのモビリティ事情とGrab、Gojekだけじゃないスタートアップ3社

シンガポールにおけるモビリティ事情を、日々NUSに通いながら見ている目線を交えながらご紹介します。

シンガポール政府は2014年に、モビリティ分野の国家戦略であるSmart Mobility 2030を発表しました。キーストラテジーは以下の3つ。

・Implement innovative and sustainable smart mobility solutions
 (費用対効果の高いモビリティソリューションを、さまざまなユーザーに提供する)
・Develop and adopt ITS standards

 (正確な交通情報の共有と信頼性が高くタイムリーで適切な情報提供)
・Establish close partnerships and co-creation

 (公共、民間セクターが協力してイノベーティブな共創を行う)

鉄道であるSMRT、高速道路、バスなどの公共交通機関では、政府主導でさまざまな試験政策が導入されています。シンガポールでバスに乗ると、「サービス向上のためにカードをタップしてください」というステッカーを見ることがあります。乗降データを取得して交通サービスの設計に利用しているようです。

一方、ライドシェアや配送などラストワンマイルの部分でスタートアップが活躍しています。ライドシェアでは、Grabに加えてGojekも参入し、アプリを使った配車サービスとして定着しています。タクシー会社のComfortDelGroも配車アプリを提供していて、価格と配車状況によって上記のアプリを使い分ける状況になっています。

自動運転のテストも多く実施されています。人を乗せての自動運転車の走行試験が複数の地域ですでに始まっており、南洋工科大学、シンガポール国立大学などの大学のほか、ガーデンバイザベイ、セントーサ島などの観光地も試験走行エリアに選ばれています。写真はシンガポール国立大学での自動運転バスのテスト走行の様子です。


ここからは、どのようなスタートアップがいるのか見ていきたいと思います。


Beam | https://www.ridebeam.com/
 -Founded: 2018
 -Total Funding: USD 6.4M
 -Investors: Sequoia Capital, Founders Fund, ZhenFund etc.

2015年頃に登場したシェア自転車サービスが撤退し、代わりに存在感を増しているのがシェアスクーターサービス。ライドシェア大手Grabはシンガポール国立大学で試験サービスを開始していますが、スタートアップがシンガポールの各エリアで営業をスタートしています。中でも多くのVCから投資を集めているのがBeamです。

アプリから電動スクーターを探して予約し、ロックを解除して利用、支払いをすることができます。決められた乗車・降車ポイントはなくどこからでも乗り降り可能です。現在、シンガポール以外に韓国、台湾、オーストラリアなど複数国でサービスを提供しています。業界最大手、アメリカのLime scooterがUSD 765Mの投資を集めているのに対し、まだまだ規模は小さいですが、APAC地域でのこれからの成長が期待されるスタートアップです。
Beamのファウンダー、Deb GangopadhyayとAlan Jiangはイェール大学の同級生。Alan Jiangは自転車シェアリングサービスofoの東南アジア事業のリーダーです。

Overdrive | https://overdrive.sg/
 
-Founded: 2015
 -Total Funding: USD 2.9M
 -Investor: Tin Men Capital

OverdriveはIoTプラットフォームを通じてデータセンシングを自動化するサービスを提供しています。例えば、企業が所有する車にIoTデバイスを搭載し、車のエンジンのオンオフ管理・リアルタイム位置情報トラッキングなどを行う車両マネジメントシステムや、スクールバスに生徒が乗り込んだかどうか、おりたかどうかを保護者にお知らせするシステムなど提供しています。これまで南洋工科大学、セントーサ、Fedex、フォルクスワーゲンやマツダなどにシステムを提供しています。
Co-founderのZen ChinとAston Chiaもまた大学の同級生で、一緒にソフトウエア開発会社を運営する中で独自のプロダクトを開発したいと考え、自社プロダクトとしてOverrideをローンチしたそうです。

Smove | https://www.smove.sg/
 -Founded: 2011
 -Total Funding: SGD 5.1K
 -Investors: Rebright Partners, 500 Startups, Wavemaker Partners

Smoveは24時間365日アプリで車の貸し借りができるサービスです。車はシンガポールの交通カードであるEZlinkでロックを解除できるようになっており、ボタンを押してエンジンをかけます。特定の乗車・降車ポイントであれば、好きな場所で借りて好きな場所で返却することが可能です。家まで車をデリバリーしてもらえるなど柔軟性の高いサービスが特徴です。Grabドライバーをしたい人向け専用レンタルプランがあり、車がなくてもドライバーができる、車が高価なシンガポールならではのサービスといえます。
実は、社名のSmoveを提案したのは、過去のインターン生だそう。“Singapore move”と”smart move”のどちらともとれる名前に創業者がこれだ!と思ったことがきっかけで社名になりました。



シンガポールのモビリティ事情には、日本ではまだ提供されていないようなサービスが実際に提供されるとどうなるか、という実験場的な面白さがあります。サービスが始まってから途中で課題が洗い出されていくため、日々サービスが変化していきます。今後どのようにサービスが展開されていくか、注目です。

Writer:西村菜美(NUS) 
Editor:伊藤隆彦(One&Co)

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